歌を習うと必ずと言っていいほど、練習をする「腹式呼吸」。今回はそんな腹式呼吸について、お話します。歌だけでなく生活をする上でも活用できるので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
腹式呼吸とはどんな呼吸法?
腹式呼吸(ふくしきこきゅう)は、呼吸法の一種で、主に横隔膜を使って深くゆっくりと呼吸する方法です。また、腹式呼吸は「腹式呼吸法」とも呼ばれることがあります。
通常、浅い呼吸は胸式呼吸と呼ばれ、主に胸部の筋肉を使って行われます。しかし、腹式呼吸では、横隔膜という膜状の筋肉を使って呼吸を行います。腹式呼吸では、吸気(息を吸う)の際には横隔膜が下がり、腹部が膨らむようになります。一方、呼気(息を吐く)の際には横隔膜が上がり、腹部が収縮します。
腹式呼吸のメリット
- 効率的な酸素供給
- リラクゼーション効果
- ストレス軽減
- 姿勢改善
腹式呼吸は、より多くの酸素を取り入れることができます。横隔膜が下がることで、肺の底部まで空気を送り込むことができます。
腹式呼吸はリラックス効果があります。ゆっくりと深く呼吸することで、副交感神経が刺激され、心拍数や血圧が下がることが知られています。
腹式呼吸はストレスを軽減する効果があります。深く呼吸することで、リラックス状態に入り、ストレスホルモンの分泌を抑えることができます。
腹式呼吸は正しい姿勢をサポートします。横隔膜の適切な動きを促すため、姿勢が良くなり、背中や肩の筋肉の緊張を緩和することができます。
腹式呼吸は、ストレス管理やリラックス効果を求めるために瞑想やヨガのプラクティスなどで広く使われています。また、声楽や演劇のパフォーマンスなどでも、声を出すための基本的な呼吸法として用いられています。
歌における腹式呼吸の効果
- 声量と響きの向上
- 音の安定性とコントロールの向上
- 発声を安定させ、無駄な力みをとる
- 表現力の向上
腹式呼吸はより多くの空気を取り入れられるため、声量を増やすことができます。横隔膜を使って深く息を吸い、腹部でサポートすることで、より豊かで力強い音を出すことができます。また、腹部のサポートによって、声の響きも向上します。
腹式呼吸によって、呼吸が安定し、持続力が増します。これにより、長いフレーズや高い音など、技巧的な歌唱にも対応できるようになります。また、腹部のサポートを通じて、音のコントロールを楽に行えるようになります。音程の正確性や音色の変化など、表現力豊かな歌唱を実現できるようになります。
腹式呼吸は声帯や声をつくる器官への負担を軽減し、発声を安定させ、無駄な力みを取ります。適切な呼吸制御によって、声帯への過度な圧力やストレスを軽減し、声の疲労を防ぐことができます。これにより、長時間の歌唱やハイノートなどの技術的な要素を扱う際にも、声の安定性を保つことができます。
腹式呼吸は感情や表現力の豊かさにも寄与します。深い呼吸によってリラックス状態になり、感情をより自由に表現することができます。また、腹部のサポートによって声の抑揚やダイナミクス(強弱)の変化を制御しやすくなり、より感情豊かな歌唱を実現することができます。
腹式呼吸の練習方法
- 仰向け(あおむけ)に寝る
- 手を腹部に置く
- ゆっくりと息を吸う
- ゆっくりと息を吐く
- 一定のリズムで呼吸をする
- 徐々に呼気を長くしていく
まずは仰向け(あおむけ)になり、リラックスした状態を作ります。仰向け(あおむけ)になった際に、身体のどこかに力が入っていないか確認しながら行いましょう。
お腹の動きを感じやすいように、手、もしくは指3本ほどを腹部に置きましょう。
鼻から息をゆっくりと吸い込みましょう。仰向け(あおむけ)で寝ながら息を吸うと、自然とお腹が膨らみます。吸気する際は、どこにも力が入らないように注意しましょう。
吸った息を口からゆっくりと吐いていきます。腹部に置いている手、または指でお腹が凹んでいく(収縮)のを感じましょう。
吸気と呼気のリズムを均等に保つようにします。たとえば、吸気に4秒、停止(一時的に息を止める)に2秒、呼気に4秒といったように、一定のリズムで行います。
慣れてきたら、徐々に息を長く吐いていきましょう。長く吐く際に息を吐き切るイメージで吐いていきます。
最初は慣れるまで短時間で行い、徐々に時間を延ばしていくと良いでしょう。日常の中でリラックスしたりストレスを解消したりするために、腹式呼吸を積極的に取り入れてみてください。継続的な練習によって、腹式呼吸が自然に身につくようになります。
腹式呼吸を歌う時に意識するには
- 正しい姿勢をとる
- 吸気、呼気時に腹部を意識する
- ワンフレーズを繰り返し練習する
足を肩幅程度に開き、腕を自然な状態に下ろします。この際、背筋は伸ばしておきましょう。まずは体をリラックスさせた状態を作ることが重要です。
腹部に手、または指を置いておき、息を吸う際は膨らんでいるかを確認します。また発声した際に腹部が凹んでいる(収縮)しているかを確認しながら歌を歌います。
1曲まるごと通して歌うのではなく、まずは短いワンフレーズからお腹を意識して歌うようにしましょう。ワンフレーズを問題なく、腹部を意識して歌えるようになったら、次はもう少し長く歌うといった形で徐々に歌う長さを伸ばしていきます。
また最初はテンポをゆっくりにして歌いながらお腹を意識するのもおすすめです。
繰り返し練習することで、歌っている最中に自然と腹式呼吸で歌えるようになっていきます。
ひとりで練習をしていると正しいかどうかがわからない、また不安になる場合があります。そんな時はお近くの音楽教室、ボーカル教室でボーカル講師、ボイストレーナーに指導を受けることもおすすめです。第三者からのフィードバックを受けることでより自分の身体の状態が把握でき、理解しやすくなるでしょう。
まとめ
歌を歌うには必須の技術でもある「腹式呼吸」。音程が安定しない、声が小さい、声が長く伸ばせない、そんな悩みがある方はぜひ一度取り入れてみてください!豊かな歌い方ができるように頑張りましょう!